7月19日(金)第1学期終業式

 71日間の1学期が終了しました。保護者の皆様や地域の皆様による日々のご支援・ご協力のおかげで本日を無事に迎えられましたことに改めて感謝申し上げます。式では代表生徒5名が今学期を振り返るとともに、来学期に向けた抱負を語ってくれました。しっかりと原稿を準備し堂々と発表しました。私からは今学期で任期を終えられる先生の紹介をしました。また、埼玉県や他県で発生した教職員による盗撮案件を受けて、私自身の目で校内をくまなく点検し、異常がないことを確認したことを伝えました。そして「イワシとナマズの逸話」を引き合いに出して、自分としっかり向き合って自らに由る夏休みを過ごしてほしいと話しました。(以下に一部掲載します。)

みなさん、魚の「イワシ」は知ってますか。食べたら美味しいお魚です。世界中で様々なイワシ料理があります。

漢字で書けますか。「魚偏」に「弱い」と書きます。「イワシ」は非常に繊細で生きたまま運搬するのが難しい。運んでくる途中で弱ってみんな死んでしまう。でも食べる我々にとって魚は鮮度が命。ここが悩ましいところです。

この課題の解決にユニークな方法で挑んだという言い伝えが北欧ノルウェーの漁師町に残っています。この町の、あるおじいさんが捕るイワシは、いつでも全部生きたまま港に戻りました。もちろん周りの漁師は秘訣を聞き出そうとします。しかし、誰も秘訣を聞き出せないまま、このおじいさんは亡くなります。持ち主のない、おじいさんの船をふとのぞくと、生け簀の中でなんと大きなナマズが一匹ゆうぜんと泳いでいました。おじいさんが最後まで明かさなかった秘密とはイワシの生け簀にナマズを入れるということでした。ではなぜイワシは元気でいられるのか。一説によると、生け簀の中に、ナマズという「異質」なものがいる効果ではないかと考えられます。異質なものが近くにいるだけで生物は適度な緊張状態となります。そのため、普通は長距離を輸送すると伸びてしまうイワシも無事長旅を乗り切ることができるという理屈のようです。

この話の真偽は定かではありません。

しかしこの話に登場するイワシとナマズとの関係は人間にも当てはまるのではないかと思います。

人はみなそれぞれ違っています。違っていて当然。異質なもの同士だからこそ、互いに自分にはないものを学び合い、それを糧に成長していけるのです。

だから、自分とは違っているものを排除するのは、大きなあやまりなんです。

逆に、自分は他の人と違うみたいだと卑屈になるのも無駄な消耗です。

お互いの優れたところを素直に「スゴイ!」と認め合いながら切磋琢磨していければ良いのです。

国や社会、会社といった組織にとっては、異質なものの存在、多様性こそが進歩と発展の原動力になります。学校やクラスという協働して生活する場でも、同じような力学が働きます。

むしろ、気の合う仲間内でイワシのように群れて満足しているようでは成長はおぼつかない。いつもいつも「ソウダネ!」「同じだね!」「一緒だね!」というやり取りばかりでは新しい発見はありません。ましてや、手をつないで一緒にトイレに行くのが友だちだとは私は思いません。

もう一歩進めると・・・ナマズの孤独を恐れないでほしいのです。

仲間より先に社会の一員として歩み始めるきっかけは、「自分はひとりなんだ!」という深い自覚にあるのかなと最近思います。この自覚によって「自由」の価値が高まると考えるからです。力を合わせて、大きな力を発揮する場面はたくさんあります。社会とはまさに人の力が結集してできています。しかし、ただの群れからは新しい価値は生まれない。ましてや、いつでもどこでもなにがなんでも・・・群れずにはいられないという人ばかりでは、健全な社会は成り立ちません。進歩もありません。だから、孤独と向き合い、人と合わせるにふさわしい力を「あなた」が蓄える必要があるのです。

明日からの長い休みには、皆さんの担任の先生はいつものように近くにはいません。時間割もありませんし、チャイムも鳴りません。

学校に通っているときよりも、自由な時間が増えます。自由とは「勝ってきまま」「わがまま」であること、ではありません。自由とは「自らに由る」と書きます。

「自分に原因がある」という意味です。

「何が起きても、どんな結果になっても、原因は自分にあるものとする。

それを承知でやりたいことをやり、また何が起きても責任を取る力がある」それが、「自由」ということです。

そして自由とわがままの境目は「他人の害になることをするか、しないか」その一点です。夏休みを、あなたのものにしてください。あなたの力を試す機会にしてください。

3年生。時間を賢く使いましょう。「中学校最後」の枕詞の意味をよく考え、限りある時間を大切に使いましょう。勉強と休息をバランスよく配置して、夏休みを自分のものにしてください。

1、2年生。目的ある時間を過ごしましょう。勉強、部活、旅行、読書・・・なんでもいいでしょう。夏休み最終日に、目的を果たせたと自分が納得いく時間を過ごしてください。

自分と向き合い、自由の意味を噛みしめて、夏休みに入ってください。

自分の価値を掴んでください。人には生まれながらの「価値」があります。ものすごい能力を携えて生まれます。例えば言葉を生み出す力です。人間には正しい文と正しくない文を瞬時に判断する力があります。この能力は生まれながらにすべての人が備えていると考えられています。最新AIは、これができません。

健康に気をつけて、交通事故や水の事故に遭わずに、元気で過ごしてください。8月29日にお互いに笑顔で再会しましょう。

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